弁護士法人ブレインハート法律事務所

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医療事故

解説

医療行為は、患者さんの心身に積極的な加療を行うことが多いものであるため、万一、投薬や手術等に過誤があれば、患者さんの生命・身体に重大な悪影響を及ぼすことになります。また、医師が、病名の診断や治療方法等に関する判断を誤った場合も同様の危険が生ずることになります。さらに、患者さんや患者さんのご家族等に対する医師の説明が不十分ないし不適切なものであれば、治療行為自体に過誤があったか否かに関わらず、患者さんの自己決定の権利を妨げ、あるいは患者さんやご家族等のご納得を得られず、結果的に心の苦痛についての損害賠償金である慰謝料の請求が認められることもあります。

こうした、患者さんやご家族等にとっても医師や医療機関にとっても不幸な事態を回避するためには、具体的な医療過誤行為自体を防ぐための技術の向上、治療機器や設備等の充実・整備、マンパワーの充実、過去の事故の検証と再発防止策の検討、再発防止策の徹底などが必要となりますし、説明義務違反等を原因とする慰謝料請求等を防ぐ意味では、ただ正しい内容の説明をするだけでは不十分な場合がありますので、患者さんや第三者の側からみても十分に理解・納得できるような適切な説明(ムンテラを含む。)をなす力を身に付けるための研修などが重要です。

また、患者さんの側に立てば、被害自体の回復ができないケースが多いため、真の意味で納得されるのは難しいと思われますが、真相の解明を求め、かつ適正な責任追及をなすことは、正当な権利行使として当然に是認されるものなので、患者さんやご家族の方々におかれましては、辛い心を奮い立たせて行動を起こされることも考えてよいのではないかと思います。

当法人の弁護士やスタッフは、医療事故の発生が限りなくゼロに近づくこと、医師や医療機関側の不十分・不適切な説明等による無用な紛争の発生が限りなくゼロに近づくことを願う思いは、いかなる立場に立っても同様であるとの考えから、医師や医療機関側か、患者さん側かを問わず、幅広くご相談に応じて参りますので、お気軽にご相談ください(なお、利害関係上ご相談に応じられないこともございますので、予めご了承願います。)。

Q&A

私の父は、現在62歳ですが、先日、工場での作業中に誤って機械で目を傷付けてしまい、医師の診療を受けたのですが、目に注射のようなものをされた後、間もなく失明してしまいました。この点について、担当医師に説明を求めたところ、医師から、診療前の父の状態、治療方法、加療後の父の状態については、難しい言葉でよく理解できない部分もありましたが、一応の説明を受けました。しかし、父が何故失明したのか、注射のようなものを用いた治療と父が失明してしまったこととがどのように関係するのかなどが、一切わからないため、父も私たち家族も苦しんでいます。つい最近、改めて担当医師と面談して説明を求めたのですが、以前よりも私たちを警戒するような態度で、治療行為に問題があったから父が失明したとはいえないなどと言われ、早々に面談を打ち切られてしまいました。父や私たち家族としては、医師に責任をとってほしい(例えば、お金を払ってほしい。)というよりも、真実を知りたい、もし医療行為に問題があったのであればきちんと説明したうえで誠実に謝ってほしい、というような当たり前の要望をしているだけなのですが・・・。このような場合、これからどのようにしたらよろしいか教えてください。

医師ないし医療機関に対し、ご質問にあるようなお父様やあなたの率直なお気持ち、つまり、責任をとってほしいというよりも真実を知りたい、もし医師の医療行為に何らかの問題があったのであれば誠実に謝ってほしい、とのお気持ちを記載した文書を作成し、そのお気持ちを明確に伝えることは、なさってよいのではないかと思います。

ただ、ご質問の状況であれば、今後、同じような説明等を求めても、医師側が誠実な対応をするとは限りませんし、真相は容易に解明されないのではないかとも思われますので、弁護士に相談して、法的手続きも視野に入れた交渉等の依頼をされることも検討されてはいかがでしょうか。

もし、弁護士が依頼を受けた場合は、必要に応じ、診療記録等の開示請求や証拠保全、示談交渉、調停申立て、訴訟提起等を行い、相手方の責任を追及していきます。

その結果、医療行為自体にミスがあり、そのことが原因でお父様の失明に至ったことが明らかになれば、後遺症の賠償も含め相当高額の損害賠償が認められると思われます。

また、仮に、上記の点が明確に証明されなかった場合でも、医師側が事前に十分な説明を尽くしていなかったことが明らかになった場合等には、高額とはいえないまでも、一定の範囲で損害賠償が認められることがあります。

さらに、裁判所等が間に入って和解等が成立する事案では、相手方の意向にもよりますが、相手方から書面や口頭で謝罪を受けることができる場合があります。

私は、ある病院の事務長を務めております。当院では、日々、患者さんのために精一杯の活動をしているつもりですが、ときには患者さん等との間でトラブルが発生することもあります。トラブルの内容としては、医療行為自体のミスが問題とされているものもありますが、医療行為のミスといえるか否かは別として、どうして不幸な事態が生じたのかについて、もっと具体的でわかりやすい説明、詳細かつ丁寧な説明をしてほしい、といったことをおっしゃる患者さんやご家族が相当多くいらっしゃいます。また、担当医が冷たい対応をしたとか、不誠実な態度、高圧的で無責任な態度をとった、というような苦情をいただくこともあります。事務方から医師側へ事情の確認や調査を行うケースもありますが、医師の中には、「私のオペにミスはなかった。」の一点張りで、それ以上の調査に応じない医師や、「患者側の要望に合わせて詳細な説明をし、懸命に治療をしたにも関わらず、残念な結果になったケースで、後に、患者側から、以前の説明等の中から都合の良い部分だけを指摘されて、あたかも医師側に責任があるかのような疑われ方をしたことがある。それ以降、責任追及を受ける危険のあるような話は、自分からは一切しないようにしている。」とか、「患者さんに専門的な話をしても十分に理解してもらえないし、正直、面倒なので、自分から話を遮って、次のステップに進むこともある。」とか、「患者さん側から少しでも批判的な話をされると、後で何か責任をとらされるのではないかと考えてしまう。自分は、患者さんのために精一杯活動しているのに心外である。患者さん側の批判的あるいは懐疑的な言動に対しては、こちらが非を認めたことにならないようにするため、その場で徹底的に反論している。そのような対処をしていると、次第に患者さん側からは文句が出ないようになる。ただ、このようなケースで、後日、突然、訴訟を起こされたことがある。」などと話す医師もいます。今後の当院としての備えとして、以上のような状況をそのままにしていてよいのか悩んでおります。医師をはじめとするスタッフが、日々、患者さんのために一生懸命頑張っていることは私もよく承知しておりますが、今後に向けて良いアドバイスがあれば教えてください。

患者さんや、そのご家族の方々は、ご自身やご家族が怪我をしたり、病気になったりした際、病院等の医療機関を受診するわけですが、はじめから医師や医療機関を疑ったり、批判的な目で見たりしている方はほとんどいません。むしろ、医師や医療機関を信頼しているからこそ受診を希望するのです。また、患者さんご自身や、そのご家族のために、医師や看護師等が一生懸命に治療を行っている姿を見ていますし、感謝もしていると思います。まれに、そうではない人が含まれている場合もあるでしょうが、多くの患者さんは、普通の、善良な市民の方々なのです。

そして、患者さんや、そのご家族が、ご自身やご家族は今どんな病状なのか、いかなる病名の病気なのか、これからどんな治療がなされるのか、どのくらいの期間を要するのか、予後はどのようなものなのか等について、よく知りたい、わかりやすく教えてもらいたいと思うのは、ごく自然な心情です。

医師ないし医療機関の方には、基本的なことですが、以上の点を、はじめによくご認識いただきたいと思います。

たしかに、世の中には、医師や医療機関に対して不当要求をしてくる人もいますし、何らかの理由で医師や医療機関を疑っている、恨んでいる、あるいは悪意を持っているという人もいるでしょうが、そういう人たちは、ごく少数です。しかし、医師や医療機関側が、このごく少数の人たちの意識や考えを、すべての患者さんに共通する意識や考えであると勘違いをしてしまうと、初期対応から間違ってしまい、結果的にトラブルを多く招くことになります。

医師や医療機関の方々に申し上げたいことは、法的トラブルを未然に防ぐ、あるいはトラブルが生じたとしても最小限の被害で解決を図るためには、医療行為そのものを適正かつ充実したものにするよう努めるべきは当然ですが、それと同時に、患者さんやそのご家族を、お客さんという立場でみて、あるいは少なくとも自分達と対等の存在と認めて、事前・事後を問わず、いわゆる上から目線の対応や冷たい対応をせず、常に誠実な態度で、懇切・丁寧に接したり、説明したりする、また、相手の話を途中で否定したり遮ったりせずに最後までよく聞き、そのうえで医師や医療機関側の考えを、相手の疑問や不安等を無理に押え込む形ではなく、きちんと解消するという形で、相手に無理なく聞いてもらえるような話し方や態度で誠実に伝えていく、というスタンスが重要です。

そして、何よりも重要な点ですが、医師や医療機関に謝罪すべき部分があれば、早い段階から素直に誠実に謝罪することをお勧めします。医師や医療関係者の中には、過去にいわゆる医療過誤裁判を経験したり、他の医師等が訴えられた情報を耳にしたり、病院の顧問弁護士等から「医師や病院の側で予め非を認めたり、謝罪したりすると、後に起こされるおそれのある医療過誤裁判等に良い影響を与えないから、安易な謝罪等はしないように。」といったアドバイスを受けたりしていることがあり、これらを極端な形で理解し、必要以上に警戒する態度をとる、あるいは自己の非を一切認めない言動をする、といった方も見受けられます。たしかに、弁護士の中には、医師や医療機関に対し、上記のようなアドバイスをする弁護士はいると思われます。しかし、私どもは、こうしたアドバイスは、相手方が暴力団等の反社会的勢力や常習的なクレーマーなどによる不当要求を念頭に置いたアドバイスであって、相手方が患者さん側である本件のようなケース、つまり、当初は善良な市民として、医師ないし医療機関を信頼して治療を受けに来られる方が大半であるようなケースには妥当しないと考えております。むしろ、このようなケースにおいて、前記のようなアドバイスに従った対応をすると、トラブルが生じやすくなったり、起きてしまったトラブルがこじれてしまったりすることが多くなると考えます。

もっとも、やみくもに謝るという対応は適切ではなく、どの部分のどのような点について謝罪するのかを可能な限り特定して謝罪することが肝要です(もちろん、事前・事後の誠実かつ丁寧な説明とともに。)。

以上のような、私どもがお勧めするスタンスや対応をしていただければ、貴院のトラブルは減少するでしょうし、仮にトラブルが生じたとしても解決が早まるでしょう。

何事も証拠が大事だから、従来からある診療記録等の整備はもちろんのこと、患者さんやご家族等とのやりとりに関する書面もしっかりしたものを準備し、署名・押印等も必ずもらっておけば、トラブルがあっても怖くないし、争いに勝てる、と思われている方がいらっしゃるかもしれません。もちろん、証拠も書面も極めて重要です。しかし、これらを扱う医師や医療機関の意識や対応が正しいものでなければ、一つのトラブルに偶々勝てることはあるかもしれませんが、それ以外のトラブルが頻発するでしょうし、トラブルがこじれて病院等の評判を落とすこともあるでしょう。

繰り返しになりますが、患者さんやご家族の多くは、一生懸命、治療にあたってくれた医師や看護師の方々をきちんと見ていますし、感謝もしています。仮に、説明等を求められたとしても、その際の患者さん側のお気持ちは、医師や医療機関を責め立てるためのものではなく、本当のことを知りたくて、あるいは不安な思いの中で、より丁寧でわかりやすい説明を求めているというのがほとんどのケースであり、たとえ、その瞬間、瞬間には、患者さん側から、声のボリュームが上がった発言がなされたり、感情的な発言がなされたりすることがあるかもしれませんが、そこから逃げずに、先ほどから申し上げているような誠実で懇切・丁寧な対応を続けていけば、最終的には納得される、強い発言をしなくなる、納得までには至らないとしても正確な説明と誠実な謝罪さえ受けられればそれ以上の責任追及等は考えない、というような患者さん方が大多数であると思いますし、万一、争いになったとしても、上記の対応をきちんととっていれば、何ら恥じることなく堂々と訴訟等の場に臨めるでしょう。

しかし、そこから逃げて十分な説明をしない、相手の話を聞かない、相手が少し話し出すと、これを自分の声で覆い被せるように遮り、自分の話ばかりする、自分たちには絶対に非はないとの強硬な態度をとる、相手方の言動や態度を批判するような発言をする、話を強引に打ち切る、といった対応を続けていると、患者さん側も納得できず、引き下がれなくなり、中には弁護士に相談に行くなどして裁判をしてくる方も出てくるでしょう。そして、トラブルは絶えず続いていくでしょう。

貴院におかれましては、以上の点を参考にされ、今後の病院運営の改善等に取り組まれることをお勧めいたします。また、貴院の発展のために真に有益な助言等をしてくれる顧問弁護士等を得ることも重要であると考えます。

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