債務整理
任意整理
貸金業者から取立ての電話が頻繁にかかってきており、対応に困っています。任意整理をすれば、電話は止まるのでしょうか。
弁護士は、任意整理を受任した場合、債権者に対して受任の事実を通知し、それ以後は、受任弁護士が債務者に代わって債権者との交渉の直接の窓口となります。
そして、上記通知があったにもかかわらず、貸金業者が、正当な理由なく債務者に直接電話をかけて債務の返済を要求することは、法律上禁止されています。したがって、貸金業者からの取立ての電話は原則として止まります。
私は、消費者金融からの借金に加えて住宅ローンを毎月返済しています。生活が苦しいので任意整理を考えていますが、住宅ローンの返済だけはこれからも今までどおり続けていきたいと考えています。こうしたことは可能でしょうか。
破産や民事再生と異なり、任意整理の場合においては、債権者の一部を債務整理の対象外とすることにつき
ある程度柔軟に対処することができますので、住宅ローンを対象外として他の債務についてのみ任意整理の対象とすることも可能です。
自己破産
私は会社勤めをしていますが、自己破産をした場合、その事実は勤務先に知られてしまうのでしょうか。その場合、会社を辞めさせられたりしませんか。
自己破産の手続をとった場合でも、裁判所からあなたの勤務先に対して、電話や手紙等によって破産の事実について連絡・通知がされることはありません。
また、破産手続が開始されると官報に公告がなされますが、一般の会社が官報を毎日チッェクすることは稀でしょうから、勤務先があなたの自己破産の事実を知る可能性は低いと考えられます。
また、仮に会社が社員の自己破産の事実を知ったとしても、自己破産のみを理由として会社が当該社員を解雇することは、原則としてできません。
自己破産をしても、支払を免れることができない債務には、どんなものがありますか。
税金や社会保険料の滞納分、婚姻費用や扶養料などの親族関係に関係する債務、罰金などについては、自己破産をしても支払を免れることができません。
また、破産者に、浪費・賭博等の射幸行為や、債権者を害する目的で財産を隠匿するなどの行為があった場合には、免責不許可となり、その他の債務についても支払を免れることができなくなる場合があります。
自己破産をした場合、全ての財産を手放さなければいけないのでしょうか。
自己破産をした場合でも、生活に欠くことができない衣服や家具等の財産、現金(99万円が上限)、破産手続開始後に新たに取得した財産については、原則として自分で管理し、自由に処分することができます。
このような財産を自由財産といいますが、裁判所は、様々な事情を考慮したうえで自由財産の範囲を拡張することもできます。
民事再生
小規模個人再生とは、どのような手続なのですか。
小規模個人再生とは、住宅ローン等を除いた債務の総額が5000万円以内の個人債務者が、返済額を総債務額の2割程度に減額してもらったうえで、将来得られる収入から原則3年間(特例5年間)で返済を行っていくという制度です。
ただし、この制度を利用するためには、将来において安定した収入を得られる見込みがあることが必要です。また、最低でも100万円は弁済しなければなりません。
私は、現在住んでいる住宅のローン返済が困難になり、消費者金融から借金を重ねてきましたが、限界を感じています。民事再生をした場合も、破産の場合と同じように、自宅は手放さなければならないのでしょうか。
民事再生手続においては、住宅ローンの支払が困難になった個人債務者が住宅を失うことなく生活を再建できるように、住宅ローン債務の内容を変更する特別の条項を、再生計画の中に定めることができる場合があります(住宅資金貸付債権に関する特則)。
したがって、民事再生の場合には、この特則を利用することによって、自宅を手放すことなく債務を整理できる可能性があります。
特定調停
特定調停のメリットとデメリットはなんでしょうか。
特定調停は、裁判所を利用する手続ですが、破産手続等に比べて申立て手続が簡便であり、費用も比較的安価であるというメリットがあります。
もっとも、債権者が多数の場合にはそれなりの費用がかかりますし、裁判所が関わるとはいえ、個々の債権者との合意ができなければ調停は成立しませんので、強硬な債権者が存在する場合には、特定調停手続による問題解決は困難な場合があります。また、債務者本人申立てによる特定調停においては、債務者に不利な内容の調停が成立してしまう例もあり、こうした点に注意が必要です。
過払金請求
私は、消費者金融から借金をしては返済をすることを繰り返してきましたが、過払金請求ができるかどうかを判断する目安はありますか。
まず、あなたが消費者金融業者から最初に借入れをした時期が重要なポイントになります。最初の借入れの時期が平成19年ころより後である場合は、多くの貸金業者が法定利率で貸付けを行うようになってからの借入れである可能性が高いので、過払金が発生する可能性は低いと思われます。
さらに、取引期間の長短も重要なポイントになります。一般に、取引期間が5~6年以上に及んでいれば、過払金が発生している可能性があり、10年以上に及んでいれば、高い可能性で発生しているといえるでしょう。
その他にも、過払金請求ができるかどうかを判断するポイントはありますので、詳しくは当事務所までご相談ください。
過払金請求に、請求期限や締め切りのようなものはありますか。
原則として、貸金業者との取引が終了した時点から10年以内であれば、請求は可能です。
また、10年以上経過しているように思われる場合でも、請求できる可能性がありますので、まずは当事務所までご相談ください。