弁護士法人ブレインハート法律事務所

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当社は、未だ暴力団関係者が会社に押しかけくるというような経験をしたことがないため、そのような場合の対処法がわかりません。そこで、基本的な心構えについて、アドバイスしてください。

暴力団関係者と応対するうえで最も重要なことは、毅然とした態度を堅持することです。

暴力団員は、刑務所入りの危険を十分認識しながら、資金獲得のために企業等を訪れているのですから、直接的な暴行、傷害を加えることはまれです。したがって、必要以上に恐れる必要はありません。ただし、相手は、脅しのプロですから決して侮ってはいけません。 暴力団関係者は、強い者には弱く、弱い者には限りなく強い態度をとるので、暴力団には屈しないという強い信念と、対決する気迫を持って折衝に当たることが大切です。

暴力団関係者は、相手を挑発して失言を誘い、あるいは言葉尻をとらえて徹底的に糾弾し、無理難題を押しつけてきますので、挑発に乗らずに冷静に対応することが大切です。また、暴力団関係者は、一般市民に馬鹿にされたり、なめられたりしたと思ったときは、「メンツをつぶされた。」などとして、場合によっては直接的な暴力行為に及ぶことがありますので、彼らを挑発することは危険です。

さらに具体的な対処方法を知りたい、日頃よりこのような事態に備えて常時弁護士に相談できる体制を作っておきたい、不当要求に対する対処方法等について継続的に弁護士のアドバイスを受けたい、といったご要望がある場合は、弁護士と顧問契約を結んで、顧問弁護士を確保することをお勧めいたします。

暴力団関係者が会社に押しかけきた場合の受付時の対応について教えてください。応対の要領について教えてください。

受付時(具体的な面談に入る前)に、相手方の氏名(フルネーム)、所属団体、所在地、電話番号及び用件等を確認しましょう。

また、年齢、人相、着衣、身体的特徴、言葉の訛り、携行品、自動車のナンバー・車種・塗色等をメモなどに記録しておくことも有用です。この記録については、面談時に面談担当者以外の方がじっくり観察して行うという方法もあります。

暴力団関係者が会社に押しかけきた場合、どのような場所で面談すればよいか教えてください。

相手方と面談する場合、応対者に有利な場所で、精神的に余裕をもって応対できる場所を選んでください。

具体的には、会社等の管理が及ぶ範囲内の場所等(例えば、暴追ポスターや不当要求防止責任者講習の「受講修了書」を掲示した社内応接室、社内電話がある部屋、大声を出せばすぐに社員にわかるような部屋等)で行うべきであり、相手からの呼出しには応じない、とくに暴力団事務所には絶対に出向かないようにしてください。やむを得ず外で面談する場合は、ホテルのロビー等、人目につく公共の場所を選んでください。

配置は、こちら側が入口に近い場所になるようにしてください。面談場所に相手方を入れる前に、凶器になるものが置いてないか確認してください。また、相手方を面談場所に入れた後、面談を開始した際にも再度確認してください。

暴力団関係者が会社に押しかけきて、「社長を出せ。」と言ってきた場合、どのような対応をすればよいか教えてください。

面談や電話は、責任者として選任された担当者が統一して行い、トップまたはそれに近い幹部は出さないようにしてください。

暴力団は、「責任者を出せ。」、「社長に会わせろ。」などと要求してくる場合が多いのですが、最初からトップが応対する必要はありません。「私が担当責任者です。お話を承ります。」と、決められた責任者が応対するのがよいでしょう。

責任者の選任にあたっては、正義感の強い明確な意思表示のできる責任者を予め決めておくことが重要であり、次のような方を選任されるとよいでしょう。

① 暴力団対策に関する講習を受講された方

② 上記の方から指導を受け、必要な知識等を身につけている方

③ 企業内のトラブル処理の任に当たっている方

また、応対担当者を複数決めておき、それぞれに合った任務分担も話し合っておきましょう。例えば、実際に相手方と会話をする方、相手方の年齢、人相、着衣、身体的特徴、言葉の訛り、携行品、使用車両等、相手方の特定に役立つ事項や面談内容をメモする方、関係者との連絡を担当する方、警察への通報を担当する方等を予め決めておくことが重要です。

暴力団関係者の要求に応じて会社で面談する場合、面談時間や人数を制限した方がよいでしょうか。

面談時間は予め明確に区切り(例えば「何時には○○がありますから何時までならお話をうかがいます。」などと告げて応対の時間を明確に区切る。)、応対時間は可能な限り短くします(長くても30分以内)。

また、長引く場合に備えて、社内から内線電話などを入れてもらうよう予め打ち合わせをしておいてください。

さらに、相手方が多人数の場合は人数制限(1人か2人。少ないほどよい。)を行い、多人数での面談を強要する場合には面談をしないようにしてください。

暴力団関係者の要求に応じて会社で面談する場合、こちら側で対応する人数についてアドバイスしてください。

不当要求防止責任者は、常に優位に立って応対しなければなりませんが、暴力団員は脅しのプロですから、1人で応対すると彼らのペースに引き込まれ、不利な応対を余儀なくされることもあります。

相手方の要求内容を正確に把握し、不測の事態に対処し、かつ、相手方との関係で数的な優位を保つため、前記のとおり相手方の人数を極力少数に制限したうえ、必ず2名以上(相手方より多数)で役割分担を決めて対応してください。

応対担当者が面談中、その他の者は、社内応接室等のドア越しにそれとなく中の様子をうかがう等して緊急事態に備えてください。

暴力団関係者の要求に応じて会社で面談する場合、相手にお茶を出した方がよいでしょうか。

お茶等を出すことは暴力団員が居座り続けることを容認したことになりかねないし、湯飲み茶碗等を壁に投げ付けられるなど、脅しの道具として使用されるおそれもありますので、お茶等の接待はしないでください。

暴力団関係者の要求に応じて会社で面談する場合、どのような点に注意して相手の話を聞けばよいか教えてください。

相手方は脅しのプロなので、些細なことに因縁をつけられないよう、まず相手側の話をよく聞き、趣旨・目的をハッキリさせてから対応してください(暴力団員が、何をネタに、どんな理由で、何をたくらんでいるのかを確認することが重要です。)。さらに、面談開始時に「何時まで」と断らなかった場合は、用件を確認した段階で、長くても30分の範囲内で、用件に応じた制限時間(極力短い方がよい。)を予め相手方に伝えてください(例えば、そのようなご用件であれば、○○時まで、お話をうかがいます。」等)。

彼らは、脅迫罪や恐喝罪を避けるため、「誠意を見せろ。」等とあいまいな表現をしますが、具体的に相手は何を求めているか、要求の本音は何か、具体的にはどうすればよいのかということを相手の口から言わせて、要求を明確にさせる必要があります。暴力団員は金が目当てなのですが、こちらから金銭での解決を投げかけてはいけません。恐喝罪にならないよう、「金を要求したわけではないのに、相手が金で解決してくれと言った。」と言い訳をされてしまいます。

また、用件によっては、応対者や応対方法が異なる可能性がありますので、いずれにせよ十分な確認をしましょう。

なお、用件を確認した段階で、暴力団員が別人の代理人として来訪したことが判明した場合、直ちに委任の事実を確認する(委任状を出してもらい十分確認する等。)ことも大切です。

暴力団関係者の要求に応じて会社で面談する場合、こちら側の言動で注意しなければならない点について教えてください。

相手が暴力団関係者ともなれば、何もしなくてもただ居るだけで怖い…というのが現実だと思いますが、その場から逃れたいという気持ちから、相手の一方的な要求に安易に応じたり、約束したりするようでは、企業としての姿勢が疑われます。

相手は、「子供の使いじゃない。」などと凄むでしょうが、ビクついたりせずに、強い信念と気迫を持ちつつ、落ち着いて対応しましょう。早く暴力団員との関係を絶ちたいという気持ちは分かりますが、無理に解決を急いではいけません。彼らは、結果を出したいわけですから、一刻も早く要求を呑ませたいのです。それに便乗して、解決を急ごうとすれば、彼らの思惑どおりになってしまいます。

暴力団員は、巧みに論争を持ち込んで、相手の失言を誘い、また、言葉尻をとらえて厳しく糾弾して要求に従わせようとしますので、相手の言うことに関し、議論をすることを避け、不用意な発言をしないように細心の注意を払い、発言を必要最小限にとどめることが肝要です。

面談当初の段階から「申し訳ありません。」、「すみません」などと、こちら側の非を認めるような発言をしたり、揚げ足を取られるような発言(例えば、会話の流れの中の「責任をもって○○します。」などと発言をすると、後で無関係のことまで「さっき責任を持つと言っただろう。」などと言われることがあります。)をしたり、ミスや落ち度が明確でないのに、こちら側に一方的に非があるような謝罪の発言をしたりするようなことは避けてください(もし、誤った発言をしてしまった場合は、その場において速やかに訂正してください。)。

とくに、相手方の指摘する事実が真実であれば、こちらにも非があるかもしれないが詳細は不明というようなケースの場合、相手方に対し謝罪や金銭賠償等をしなければならないのではないかと不安な気持ちになり、十分な調査をしないまま謝罪をしてしまうことがありますが、調査をしてみなければ指摘された事実やその事実についての責任の所在等が判明しない場合は、安易に謝罪をせずに、調査結果に基づき応対する旨を明確に伝えましょう。

仮に、こちら側にも一定の落ち度があるような場合(相手方の言っている内容自体に一部正当な要求が含まれているような場合)でも、法律上負担すべき義務は、実費弁償等、社会通念上相当な範囲内の損害賠償義務にとどまり、かつ、その義務は、ほぼ例外なく相手方の考えている詫び料等より、はるかに低額なものなのであり、また、正当な内容が含まれる要求であっても、要求手段や方法が社会的に相当な範囲を逸脱している場合には、要求行為自体が強迫罪、強要罪、恐喝罪を構成することがありますので、やはり安易な謝罪や約束は絶対にしないでください。やむを得ず謝罪をする場合も「○○の事実については、お詫び申し上げます。」等、特定の事実に限定して謝罪をしてください。また、謝罪をした際に、相手方から「謝って済むと思うのか。誠意がない。」などと言われた場合、こちら側で既に賠償額を明確に定めているような場合は、その賠償額を支払うことのみを伝えるべきですし、定まっていない場合は「裁判所で認められる法的責任がある場合は、その範囲で対応します。」などと答えるしかありません。さらに、相手方が「誠意がない。」などと言ってきても、こちらから金銭賠償の提案はせずに「裁判所を通して具体的なご請求があれば、こちらも顧問弁護士等と相談して対応いたします。」などと答えてください。 また、その日の面談における相手方の話を聞いただけで要求に応じられない内容であることが明らかなときは(ほとんどの場合、応ずるべきではない。)、明確に拒否してください。不当な要求に対してのあいまいな返事は危険です。 世間の評判や関係者の名誉等を優先して水面下で解決したり、安易な妥協をしたりすると、いわば「良いカモ」とされ、後々まで酷い思いをする結果となるので、例えば、「当社の方針(あるいは業界等の方針でも可)として、そのような要求には一切応じないことになっています。お断りいたします。お引き取りください。」などと言ってキッパリと断り、付け入るすきを与えないことが肝要です。

暴力団の追及に対する回答に窮した揚げ句に、前記のとおり「申し訳ありません。」などと自己の非を認める発言をしたり、「検討します。」、「考えてみます。」などと相手に期待を持たせる発言をしたり、再び訪問される口実となるような言動をすることは厳に謹んでください。

暴力団関係者との面談において、相手方から「一筆書けば何もしないから。」などと言われた場合、これに応じて署名等をしても大丈夫でしょうか。

理由なき書類(詫び状、念書等)は作成せず、署名・押印もしないことが重要です。

暴力団は「一筆書けば許してやる。」などと言って、詫び状や念書等を書かせようとすることが多いのですが、これに応ずると、後日、「お前のところも非を認めて詫び状を書いているのだろう。」などとその書類を盾に金品の要求をしてきます。したがって、理由なき書類を作成したり、安易に名刺に署名・押印したり、暴力団員が持ってきた書類に署名・押印するなどの行為は絶対に禁物です。

暴力団員は「ここに来たことを上の者に報告するので、お前の名前の名刺の裏に判を押せ。」などと全く義務のない話を持ちかけ、あとで要求を認めたと主張したり、悪用したりします。

また、暴力団等が社会運動に名を借りて署名を集めることがありますが、これに署名すると、これを持って署名者が属する会社の他の支店や関連企業等を訪問するなどして賛助金集めの道具に使われかねません。

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